借方や貸方、勘定科目などを今まで見てきました。
今まで見てきたものをどのように使って帳簿に記入していくのか、まずは決算に向けた簿記全体の流れを知ることでイメージがしやすくなっていくかもしれません。
いきなり仕訳を始めてもなんのためにやっているのかも分からないのではなかなか頭に入ってきませんよね?
少なくとも私は入ってきませんでした!笑
そんな人のために、簿記の流れをひとまとめにして見ていきたいと思います。
簿記の流れ
簿記の目的は財務諸表を作成して、銀行や株主などの利害関係者に公示することでした。
財務諸表の完成するまでをまとめて見ていきます。
例として2021年3月31日が決算であると仮定してみます。
- 2020年4月1日〜2021年3月31日までの期中仕訳をする。
- 前期分(2019年4月1日〜2020年3月31日まで)の勘定記録と合わせて2021年3月31日までの仕訳を集計して『決算整理前残高試算表』を作成。
- 決算整理事項を元に『決算整理仕訳』をする。
- 『決算整理前残高試算表』と『決算整理仕訳』を合わせて『決算整理後残高試算表』を作成。
- 『決算整理後残高試算表』を元に財務諸表の作成。
このような流れで財務諸表の作成をおこないます。
ではこの『試算表』とはいったい何なのか?
そこから見ていきましょう。
試算表とは
決算整理前残高試算表や決算整理後試算表へ行く前に
そもそも『試算表』とはなんなのかを理解しなければなりません。
日々おこなう仕訳を集計したものを試算表と呼びます。
簿記3級の学習範囲ではこの試算表には3種類があります。
- 『合計試算表』:各勘定科目の借方、貸方共に仕訳の『合計金額』が記入されている。
- 『残高試算表』:各勘定科目の借方、貸方の『残高金額(差額)』のみ記入されている。
- 『合計残高試算表』:各勘定科目の借方、貸方の『合計金額』『残高金額』共に記入されている。
このようにまとめることが出来ますね。
通常の試算表は決算事のみではなく毎月まとめている会社が多いです。
試算表の事が何となく分かったところで早速簿記の流れを順番に見ていきましょう。
財務諸表作成までの道のり
さぁ、ここからは本題の簿記の流れ、財務諸表の作成への道のりを見ていきます。
①期中の仕訳をおこなう
これは毎日行われる取引についての仕訳をしていく事です。
日々の仕入れや売上、営業費用、水道光熱費の支払いに家賃の支払いetc…
このように企業が営業活動を続ける限り毎日毎日何かしらの取引がおこなわれています。
その取引を常に必要な帳簿につけていきます。そうする事で日々どのような取引がおこなわれているかを記録していくのです。
これを『期中仕訳』といいます。
この期中仕訳を正確におこなうことが何よりも大切です。
なぜなら、この仕訳が分からなければここから先に一歩もすすむことができないからです。
日々、取引内容に応じておこなわれる仕訳を理解することが最も大切なのです!
②決算整理前残高試算表の作成
期首〜期末にかけてひたすらおこなってきた仕訳をここで集計し、前期(今回の例の場合2019年4月1日〜2020年3月31日)の期末時点の勘定記録(帳簿)と合算させた試算表を作ります。
これが『決算整理前残高試算表』です。
日頃の仕訳の集大成とも言えるこの試算表を作成し、期中にどんな取引をどれだけおこなったのか?どれくらい商品を仕入れてどれくらい売れたのか?どれだけの家賃、保険料を払ったのか?etc…
各勘定科目ごとに借方、貸方を計算して集計していきます。あとは前期末時点の勘定記録と合わせて借方、貸方の差し引きをおこない決算整理前残高試算表を作成します。
③決算整理仕訳
決算整理前残高試算表の作成が終わったら、決算整理事項に基づいて『決算整理仕訳』をおこないます。
この決算整理仕訳は当期の成績を明白にする為に必要な仕訳です。
当期に売り上げた商品の原価(売上原価)の算定や固定資産の減価償却、経過勘定などなど堅苦しい言葉がずらっと並んでいますが全ては当期の成績を明白にするためにおこないます。
例えば、
保険料を1年分10月に支払ったとします。しかし、決算(3月31日)を迎えた場合、保険料は支払っている(費用)けど6ヶ月分しか保険のサービスを受けていないという状態になってしまいます。
こういう状態になってしまうと正式な当期の成績に影響を及ぼしてしまいます。
ここで登場するのが決算整理仕訳です。この状態を解消して、『本当に受けたサービス料(費用)』と『次期にサービスを受けることの出来る権利(資産)』に分けるのです。
『決算整理前残高試算表』を『決算整理後残高試算表』にするための最後の仕訳です。
④決算整理後残高試算表の作成
ここまできたらあと一息ですね。
『決算整理前残高試算表』+『決算仕訳』=『決算整理後残高試算表』
いままで仕訳してきたここで一気にまとめて作成します。
もう思い残す事はありませんね!
⑤財務諸表の作成
やっとここまで辿り着いたら後は『貸借対照表』と『損益計算書』に各要素を振り分けていきます。
資産 | 負債 |
資本(純資産) |
費用 | 収益 |
収益が費用より大きければ利益 | 収益が費用より少なければ損失 |
『資産』『負債』『資本』『費用』『収益』の5つの要素を振り分ける事で今の企業の状態や、当期の経営成績を記録し明確にします。
まとめ
今回は簿記の一連の流れについて見てきました。
この流れが分かれば何のためにどういった流れで仕訳をしていくのかが見えてきたのではないでしょうか?
ここまで書いてきて思うのは、やはり簿記は仕訳が命!
簿記3級レベルではありますが仕訳をどんどん学んでいきたいと思います!
ここまで読んでいただきありがとうございました。