簿記

ゼロから始める簿記勉強:『経過勘定項目の見落としやすいポイント』

重要ポイント

経過勘定項目について勉強をして、過去問題や模擬試験をやる中で、かなり重要と思えるポイントがある事が分かってきました。

最初はなんの事か全然わからなかった事が理解できるようになってきたのでここで書いていこうと思います。

経過勘定項目の復習

まずは経過勘定項目について復習していきたいと思います。

経過勘定項目には4種類の考え方がありました。

  • 費用の前払い⇨次期以降の金額を資産へ
  • 収益の前受け⇨次期以降の金額を負債へ
  • 費用の未払い⇨当期分を算出して費用と負債へ
  • 収益の未収⇨当期分を算出して収益と資産へ

この4つは費用や収益を資産や負債に振り替えて、当期に絞って算出するという作業を行ってきました。

そして問題を解いていくうちにこの経過勘定にはもう一つ重要な論点があるということが分かりました。

それは経過勘定には

『当期からの継続的な契約』と『前期以前からの継続的な契約』の2種類があるという事です。

では詳しく説明していきます。

こちらも合わせて見るとわかり易いです!

重要な論点

先ほども記述した通り、経過勘定項目には

『当期からの継続的な契約』と『前期以前からの継続的な契約』の2種類があります。

つまりこの2つは仕訳に際して計算する時の考え方が少し違ってきます。

今回は後者の『前期以前からの継続的な契約』について考えていきたいと思います。

前期以前からの継続

まずはこの2つの問題を比べてみてください。

問1:×1年3月31日、決算における決算整理事項、保険料2400円は12月1日に向こう1年分を支払ったものである。

問2:×1年3月31日、決算における決算整理事項、保険料2400円は前期に加入した保険に対するものであり、毎期12月1日に向こう1年分を支払っている。

この2つの問題の決算整理前試算表はどちらもこうなっています。

決算整理前試算表
借方勘定科目貸方
2,400保険料

決算整理前試算表はどちらも同じ、そして保険料の支払いをおこなった日も同じです。

一見するとどちらも次期分の保険料の算定は

次期分保険料の算定

保険料 × 次期保険期間(月単位)÷ 保険料対象期間 = 次期分保険料

2,400円 × 8ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 1,600円

この様になると思うのですが、ここに落とし穴があります!

この決算整理仕訳をなんの為におこなっているかというと、『当期に保険サービスを受けている分の保険料』を費用として、『次期以降に保険サービスを受ける権利』を資産の勘定項目へ振り返るためにおこないます。つまり、当期の費用を正確に割り出そうという目的があるわけです。

よくよく問題を読んでみてください。

問1は当期の12月1日に保険料を支払い、『当期の12月1日から保険サービスを受けている』。

問2は当期の12月1日に保険料を支払ったが、『前々期から保険サービスを受けている状態で保険料の支払を毎年12月1日におこなっている』

この様な違いがある事が分かります。

つまり、問2の場合は『当期の4月1日〜12月1日までに受けている保険サービス』の分の金額も含まれているという事です。

頭がこんがらがってきたかと思いますが、次で詳しくみていきましょう。

問1の考え方についてはこちらで詳しく解説しているので見てみてください!

決算整理後残高試算表と再振分仕訳

まずは問2に対しての次期分保険料の算定をどの様にしたらよいのかを見ていきましょう。

一番大切なことは、当期の費用として記録されている保険料2,400円が『どれだけの期間の保険料を指しているか?』です。

当然、当期から支払いが始まっていれば12ヶ月(1年間)で月割すれば保険料の算定をおこうなう事ができます。しかし、今回は保険料は前々期より向こう1年分の支払いをおこなっています。

では決算整理前残高試算表における保険料はどの期間の保険料の事を指しているのか見ていきましょう。

まずは問1の考え方をしっかりと把握していないといけないので、問1の保険料の対象期間を見ていきます。

問1:×1年3月31日、決算における決算整理事項、保険料2400円は12月1日に向こう1年分を支払ったものである。

×1年12月1日に向こう1年分の保険料を支払っていますので

4567891011
4567891011
次期保険料負担部分

12123
当期保険料負担部分

12123

水色の部分(月)が保険料の負担期間ということになります。

当期に支払った1年分の保険料はこの様に分けることができる為、×0年12月1日〜×1年3月31日までの保険料を費用である『保険料』勘定、×1年の4月1日〜11月30日までを保険サービスを受ける事のできる権利(資産)を『前払保険料』としました。

決算整理後残高試算表
借方勘定科目貸方
1,600前払保険料
800保険料
決算は×1年3月31日

しかし、この前払保険料は×1年の4月1日になると再振分仕訳をされて保険料として再度試算表に記録されます。

×1年4月1日時点残高試算表
借方勘定科目貸方
1,600保険料
決算終了後の再振分仕訳後×1年4月1日時点

×1年4月1日時点では決算事に前払保険料(資産)として仕訳されていたものが、再度費用として計上され直すのです。

まさにこれがポイントになるので必ずおさえておきましょう。

実際の仕訳

ここまでの考え方を頭に入れた上で本題である問2の前払保険料の算定と仕訳に入っていきましょう。

問2:×1年3月31日、決算における決算整理事項、保険料2400円は前期に加入した保険に対するものであり、毎期12月1日に向こう1年分を支払っている。

問1との違いは

前期に加入した保険に対するものであり、毎期12月1日に向こう1年分を支払っている。

この部分ですね!

それではまずは時期の保険料負担分=前払保険料の算定からおこないます。

決算整理前試算表
借方勘定科目貸方
2,400保険料

決算整理前残高試算表はこうですね。

4567891011
前期繰越保険料(再振替仕訳後保険料)
4567891011
次期保険料負担部分

12123
当期保険料負担部分

12123

ここで注目したいのが前期からの繰越の保険料が決算整前残高試算表には含まれているという点です。

この問題では、保険料の対象期間が『×0年4月1日〜×2年11月30日までの20ヶ月間』なのです。

この20ヶ月間の内、時期に保険サービスを受ける対象となるのが×1年4月1日〜×1年11月30日までの8ヶ月間であるため下の様に算定することができます。

次期分保険料の算定

保険料 × 次期保険期間(月単位)÷ 保険料対象期間 = 次期分保険料

2,400円 × 8ヶ月 ÷ 20ヶ月 = 960円

このようになります。

この経過勘定項目でもっとも大切なことは一体その費用はどの期間の費用なのかをはっきりさせることなのです。

最初はこの意味が全然分かりませんでしたが、勉強を進めていくうちに理解することができました!

まとめ

この様に簿記の問題には、いつからいつまでかかった費用なのか?という事をしっかりと理解していないと解けない問題が存在します。

もちろん色々と暗記をして対応する事もできるかもしれませんが、しっかりと自分の中で理解をしていないと少し問題を捻られただけでも解けなくなってしまうのです。

自分で納得するまで繰り返し繰り返しトライアンドエラーをして前に進んでいきましょう。

ここまで読んでいただきたりがとうございました。